
2026年10月23日(金)
件名:PHP脆弱性に起因する故人情報流出事案について
本日、当事務所のシステムにおいて、PHPの脆弱性を悪用したとみられる不正アクセス事案が発生した。
現在、各方面で同様の脆弱性が問題となっているが、当事務所においては通常とは若干異なる情報流出が確認された。
流出したのは個人情報ではない。
故人情報である。
現時点で確認されている流出件数は一件。ただし、当該故人には念写および自己増殖能力が認められるため、一般的な情報漏えいにおける件数の概念が適用できない。
事態を重く受け止め、緊急記者会見を開催した。
私、藤本、純くんの三名が出席した。純くんは燕尾服を着用し、終始厳粛な態度で臨んだ。
会見では、情報の流出先における安全管理について説明したが、その最中、記者のタブレット端末から当該故人が出現した。
藤本はこれを確認し、「流出しちゃいましたね」と発言した。
技術担当者として、もう少し適切な表現があったのではないかと思う。
その後、記者一名への憑依が確認された。
幸い、藤本の説明によれば、憑依中は身体神経回路が封鎖されるため、憑依先の身体的安全は確保されているとのことである。
しかし、記者からは「身体神経回路の封鎖とは何か」「本人の意思はどうなるのか」「なぜそれを安全と呼ぶのか」といった質問が相次いだ。
いずれももっともな質問である。
藤本は詳細な技術説明を試みたが、説明が進むほど会場の混乱は拡大した。
当事務所としては、引き続き被害の拡大防止、システムの安全性確保、ならびに憑依先の身体保護に努める。
なお、会見終了時点で当該故人の回収は完了していない。
また、記者から「憑依されていないことを確認する方法」について質問があったが、藤本によれば、外見上の判別は困難とのことである。
記者会見場は現在も騒然としている。
所感
情報漏えい対策としてアクセス制御の強化は当然必要である。
しかし、流出した情報が自ら端末から出てくる事態については、既存のセキュリティ対策だけでは対応が難しい。
藤本には早急に再発防止策を提出させる。
純くんについては、最後まで深々と頭を下げていた点を評価したい。
本日の記者会見において、最も適切な対応をしたのは純くんだった可能性がある。
香坂 湊
木蘭主任・弁護士