
構文士、法務アドバイザー
「国際」とは、何でしょうか。
パスポートを持つことでも、外国語を操ることでもありません。
時差に強いことでもありません。
木蘭にとっての「国際」は、
どこか一つに寄りかからないことです。
日本法が絶対だとも思わない。
国際仲裁に出せば全部解決だとも思わない。
英語で言えば賢そうに見える、とも思わない。
私たちは、国家と国家の間に机を置きます。
その机は、ときどきガタつきます。
ですが、蹴り飛ばさず、そこに置き続けます。
複数の法体系が交わる交点に立つ。
どこにも属しきらず、逃げもしない。
それが、木蘭の「国際」です。
「法務」という言葉は、だいたい怖い顔をしています。
書類と判例と、少しの権威。
そして、やや多めのため息。
けれど私たちが触れようとしているのは、
条文のさらに奥にある問いです。
ダルマ。
宇宙の在り方。あるべき姿。
壮大ですが、やることは地味です。
机の上で、ため息を一つ減らせないかと考えること。
制度と、その中で生きる人のあいだに、
ほんの少しだけ理(ことわり)を差し込めないか。
それを諦めないことが、私たちの仕事です。
「木蘭」という名は、唐代の詩に詠まれた「木蘭舟」に由来します。
昇る光を抱き、霞に明るむ舟。
香木で作られた、美しい舟。
しかし現実の舟は、もっと雑です。
板は傷み、塗装は剥がれ、
時には誰かが勝手に改造します。
それでも、舟は進みます。
人は誰しも、自分の記憶の海に浮かんでいます。
世界は、それぞれの感覚がつくる範囲でしか見えません。
完成したと思っていた舟も、
別の海に出れば、知らない波に揺られる。
少し形が変わるかもしれない。
名前まで疑われるかもしれない。
それでも。
形ではなく、向かう方向で同一性は保たれる。
私はそう考えています。
木蘭国際法務研究所は、
完成した舟を展示する場所ではありません。
揺れている舟を、そのまま浮かべておく場所です。
静かに。
そして、しぶとく。